さかなドリームがシリーズAで10億円調達——「夢あじ」量産と新魚種R&Dを本格加速

シリーズAで総額10億円を調達。リードはBeyond Next Ventures、累計は約12億円。
資金は新規養殖魚の研究開発、量産体制の構築、ブランド/マーケ強化に投下。
投資家シンジケーションにはCMJ MIRAI Fund(グローバル・ブレイン運営)や地域系VCが参加。2025年9月2日発表。

会社の概要

さかなドリームは、東京海洋大学発の水産スタートアップ。「世界一旨い魚を創り、届ける」を掲げ、品種改良と養殖技術を組み合わせて新規養殖魚を開発・生産・販売する。

看板商品はカイワリとマアジを両親に持つ世界初の養殖魚「夢あじ」。

テスト販売では即日完売が続き、ミシュラン掲載店を含む国内外の飲食店や流通から評価を獲得している。背景には、需要拡大と天然資源の不安定化という産業課題がある。同社は“味の再現性”と“供給の安定性”を、研究と量産設計、そしてブランド戦略の三位一体で解こうとしている。

今回の資金調達の概要

ラウンドはシリーズA、調達方法は第三者割当増資。金額は10億円で、リードはBeyond Next Ventures。参加は、ゆうちょ Spiral Regional Innovation Fund(Spiral Innovation Partners運営)、Canon Marketing Japan MIRAI Fund(グローバル・ブレイン運営)、ニッセイ・キャピタル、三井住友海上キャピタル、ちばぎんキャピタル、常陽キャピタルパートナーズ。シードを含む累計は約12億円に到達した。調達のプロセスでは、グローバル・ブレインのカジュアル相談会「GB Pit In」を起点に、対話と仮説すり合わせを重ねた関係構築が奏功している。

今回の資金調達で実施する内容

まず研究開発を拡張する。新たな研究施設の整備と専門人材の採用を進め、数年内の新魚種パイプライン化を目指す。同時に量産フェーズを押し出す。生産設備投資や全国の養殖パートナー連携を広げ、品質標準化と歩留まり改善で供給の再現性を高める。ブランディングと市場開拓にも踏み込む。広報・マーケ施策を強化し、飲食・小売・海外を含むチャネルでブランドの認知と指名買いをつくる——こうした一連の投資は、単価と粗利を押し上げつつスケールに耐える供給体制を築く狙いだ。

公式サイト・求人情報

公式サイトと採用情報(カジュアル面談を含む)は下記から確認できる。編集部としては、量産立ち上げ期の採用は“仕組みづくり”の経験値が重視されると見ている。公式サイト:sakana-dream.com

編集部コメント

“おいしさ”は偶然ではなく設計できる——同社の勝ち筋はそこにある。研究×量産×ブランドを一つのストーリーとして束ね、需要サイドの“指名”を作りにいく姿勢は、一次産業の常識を軽やかに更新している。投資家との最初の接点がカジュアル相談会だったことも象徴的だ。壁打ちから始まる関係が、実行計画とメトリクスで深まり、シリーズAで確信に変わる。ここからの数カ月、プロダクトの味の再現性と供給の安定化がどこまで伸びるか。市場の反応はもちろん、採用ページの更新頻度にも注目したい。

出典

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