イチロウがシリーズBで総額11.3億円を調達――介護×テクノロジーの実装を加速し、オーダーメイド介護の全国展開へ

2025年9月11日(JST)、イチロウ株式会社はシリーズBラウンドで総額約11.3億円の資金調達を発表した。手法は第三者割当増資と日本政策金融公庫からの借入で、リードは株式会社ファストトラックイニシアティブ。Aflac Ventures Japan、MPower Partners Fund L.P.、Open Network Lab・ESG1号(Earthshotファンド)、Cygames Capital、三井住友海上キャピタル、明治安田未来共創ファンド、One Capitalが参加し、累計調達額は約15.4億円に到達している。使途は介護業務支援システムの開発強化、人材採用、そして全国展開に向けた市場開拓だと明示された。
会社の概要
イチロウは、公的介護保険の対象外となりがちな在宅ニーズに応えるため、利用者ごとに最適化した「オーダーメイドの介護サービス」を提供するプラットフォームを運営している。24時間365日、最短当日から2時間単位でのスポット利用まで設計された柔軟性が特徴で、介護を受ける側と担う側の双方にとって現実的な選択肢を広げてきた。現場の制約が強い領域で、プロダクトとオペレーションを同時に磨き込むアプローチが事業の核になっている。

同社は「誰もが幸せな最期を迎えられる社会」というミッションを掲げ、介護×テクノロジーで業界課題の解決を目指す姿勢を一貫して示してきた。近年はB Corp認証の取得や業界団体の設立にも関与し、事業の拡張と社会的インパクトの両立を経営の前提に据えている。企業情報やカルチャーの発信は公式サイトや採用メディアを通じて行われ、現場理解とテック活用を両輪とする文化が強調されている。
今回の資金調達の概要
今回のラウンドはシリーズBで、第三者割当増資の引受先としてファストトラックイニシアティブをはじめ、Aflac Ventures Japan、MPower Partners Fund L.P.、Open Network Lab・ESG1号(Earthshot)、Cygames Capital、三井住友海上キャピタル、明治安田未来共創ファンド、One Capitalが名を連ねる。加えて日本政策金融公庫からの借入も実行され、総額は約11.3億円。これにより累計調達は約15.4億円となった。日付、投資家名、手法、金額は同社の公式発表に明記されており、資金の背景としては介護市場の拡大と技術実装の加速が挙げられている。

今回の資金調達で実施する内容
資金はまずサービス基盤の強化に投じられる。オペレーション設計とシステム開発を一体で進め、利用者体験の向上と介護士・看護師の就労環境改善を同時に実現する方針だ。並行してマーケティングを拡張し、認知獲得と登録人材の増加を狙う。採用はエンジニアリングと介護・看護の専門人材を軸に体制を厚くし、全国の事業者との連携を広げながら地域に根ざした提供網を整える計画が示されている。新規プロダクトやビジネス開発にも踏み込み、プロダクトの磨き込みと供給の標準化を進めることで、品質の再現性とスケールに耐える収益構造を設計していく。
編集部コメント
介護という難題に対して、テクノロジーと現場運用を同じ机の上で設計する会社は強い。イチロウが掲げるオーダーメイド介護の思想は、プロダクトとオペレーション、そして採用の積み上げが噛み合ったときに初めて大きな価値になる。今回の資金調達で基盤、マーケ、人材の三方向を同時に押し込める体制が整うなら、次の三カ月で契約獲得と供給側のキャパシティ拡張がどこまで進むかが見どころだ。採用の立ち上がりはエンジニアと現場の専門職が先行し、その後にオペレーション設計や地域連携の役割が厚くなるとみる。その足場を固めるラウンドとして、今回の調達は意義が大きい。