【解説】オルツ粉飾決算の経緯

  1. 顛末ダイジェスト
  2. オルツとは何者か
  3. 粉飾はどう見つかったのか
  4. “サブスク2.0”=粉飾スキームを分解
  5. 市場への影響と実務メモ
  6. 編集後記

1|顛末ダイジェスト

  • 4月下旬:オルツが売上計上の疑義と第三者委員会の設置を公表。焦点は主力SaaS「AI GIJIROKU」の売上実在性。そもそも売り上げがないのでは?とガサ入れ。
  • 7/28–29:第三者委の調査報告書(公表版)と会社の開示。過大計上“三点盛り”が数字で確定する。 売上:119.085億円   広告:115.574億円     R&D:13.13億円
  • 7/30:東証が整理銘柄指定→8/31上場廃止を決定(新規上場申請の宣誓事項に対する重大違反)。
  • 7/30–31民事再生を申請。報道ベースの負債は約24億円

04/28 第三者委員会設置公表

07/28調査報告書開示

07/30 上場廃止決定

2|オルツとは何者か

2014年設立のAIスタートアップ。掲げるのはP.A.I.(Personal AI)「一人ひとりが自分のAIを持つ世界」構想。同社はP.A.I.の旗印の下、音声認識や対話エンジンなどの要素技術を拡張し、SaaS・ソリューションを提供。主力SaaSは会議要約「AI GIJIROKU」。2024/10/11に東証グロースへ上場(コード260A)
日本取引所グループプレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMESalt

写真:鳴り物入りで上場し、Yahoo!ニュースにて取材を受ける米倉前代表。

プロダクト自体の違法性ではなく、売上認識と資金循環の会計不正が問題の中核。第三者委報告書でも“売上の実在性”と“費用の実在性”が軸でした。

3|粉飾はどう見つかったのか

4|“サブスク2.0”=粉飾スキームを分解

(1) 実需なき“アカウント売上”計上
(2) 広告・R&D費を介した資金還流(循環取引)

写真:アクティビスト田端氏がスクープした内部資料

5|市場への影響

A. IPO審査・開示は“ログまで”が前提に

B. 監査・主幹事・審査機関の手続厳格化


6|編集後記

文責:スタートアップ白書